トップページへ
インフォメーション
入会のご案内
例会・交流会について
会員専用ページ
ビジネス展開
イーマについて
イーマとは
ビジネス会員リスト
総会について
事務局から
お問合せ
リンク
事務局から
2011.6.1更新
毎日お忙しい日が続いていると思いますが、皆様には「健康で生き生きとしていらっしゃいます?
さて、NPOイーマはお蔭様で8周年を迎えたことを機に更なる発展を目指し、皆様にお役に立つ健康・予防・治療・介護等をご提供してゆくことに致しました。

当会の誇る優れた顧問の先生方に最新の情報をご提供いただき、適宜皆様にお届けする予定でおります。ご意見・ご質問などございましたら是非メール(honbu@ihma.or.jp)にてお寄せください。


NPOイーマ顧問の先生方より最新情報をお届けします・・・
■  井上敬先生  藤森弘司先生 
 大櫛陽一先生 ■  藤田紘一郎先生
 半谷静雄先生 ■ 丹羽正幸先生 new!

■ 井上敬先生                    

【プロフィール】
 1973年京都生まれ。京都大学医学部を卒業後、大阪赤十字病院に救急医として勤務。
約1万人の急病患者を診察した結果、治療ではなく予防が医療の本質であると気付き、
2005年に健康方程式を、2006年にThe Health Equationを出版。
また、人体を分割・細分化する生命科学ではなく、人間を総合・包括的に捉える倫理を普及
するため2006年に生命哲学研究所を設立し、講演・執筆による一次予防に加えて、健診および
産業医を通じた二次予防を行う。
座右の銘は、「信念を持った異端が世界を支える。」
尊敬する人物は、B.スピノザ、安藤昌益、C・ゲバラ、加藤周一。
将来の夢は、医学と娯楽が融合した健康管理施設を作ること。
ブログ:Welcom to Institute of Biophilosophy


2008年7月17日 
「本物の健康法とは?」

数年前から日本では健康ブームで、様々な健康法が出版されています。江戸時代の医師 貝原益軒が著した「養生訓」は少し古いかもしれませんが、西勝造の「西式健康法」、桜沢如一の「マクロビオティック」、野口晴哉の「整体」は、いずれも体系立った健康法で多くの支持者と実践者を持っています。しかし、この3名はいずれも80歳になるまでに亡くなっています。そのほかにも「沖縄健康法」や「那須健康法」、「腕ふり健康法」や「真向法」といった健康法がたくさん考案されていますが、驚くべきことに、ある健康法の考案者が100歳まで生きたという例は極めて稀です。現在日本には百寿者が3万人もいると言われていますから、ある健康法が効果的であると主張するためには少なくともその考案者が自ら100歳まで生きてその効果を証明する義務があります。

ある健康法の考案者が100歳まで実際に生きた恐らく唯一の例が、塩谷信男という内科医が考案した正心調息法という健康法です。塩谷先生は1902年に生まれ、東京の渋谷で半世紀にわたって開業医として診療にあたり、60歳のときにこの正心調息法という呼吸法を考案し、自ら実践することで、75歳でエベレストに無酸素登頂し、100歳でゴルフをし、105歳で亡くなりました。正心調息法は、横隔膜という筋肉を用いた呼吸法と、イメージと自己暗示を組み合わせた精神操縦術を組み合わせた健康法で、脳細胞に酸素を最大限送り込むことをその骨子としています。呼吸という極めて当たり前で基本的な生命の営みに光を当て、それを極めて平易に解説したこの塩谷先生の功績は医学会ではほとんど知られていませんが、おそらくノーベル医学賞に値する功績であると思われます。

複雑な理論や禁欲的な戒律は、一般人にとってはなかなか受け入れにくいものです。理想的な健康法とは、単純な理論と実践が可能な行動を含んでおり、しかもその考案者と実践が実際に病なく100歳まで生きて証明が済んだものである必要があります。現在、地球上でこの条件を満たすのはまだ、一つしかありません。この塩谷先生が「大健康力」という著書で詳しく解説された「正心調息法」という健康法は、呼吸と精神に焦点を当てており、とても素晴らしいものですが、食事というもう一つの柱については全く何も述べられていません。これが、現在、地球上で最高の健康法に欠けている唯一のものです。健康方程式H=o+s+t で、健康=酸素+究食+感謝というものですが、酸素という物質に続いて、究食という食事法を含んでいます。酸素と究食を感謝をもって結合させること、これが健康方程式の要点です。健康は呼吸と食事と感情のコントロールによって達成され、酸素と究食と感謝がその具体的な内容である、というのが健康方程式が示すところです。


■ 藤森 弘司先生                          

【プロフィール】

藤森弘司
自己回復総研・主幹 

30歳の時に精神的・身体的に行き詰まり、以後「交流分析」「サイコシンセシス」「生体エネルギー法」「坐禅」「ヨーガ」「吉本式内観法」等々の理論や技法を通して、「自己の身体や精神」への気づきの深化に取り組んで30有余年。実践的・体験的裏づけを持った総合的な技法を活用する心理学の職人。
「心身症の定義とそのメカニズム」(S59・3)

 

2010年3月1日 
「深層心理と自己回復についてF」
・・・「人間の大脳」と「オオカミ少女」について ・・・
 (1)1920年10月、インドのある小さな村で、伝道師として来ていたシング夫妻が、噂を聞いて、洞穴の中にいた二匹の動物をつかまえた。それはまさしく人間の女の子で、年齢はおよそ8歳と1歳半と推定された。
  二人の姉妹をカマラとアマラと名づけ、孤児院に預け、人間としての教育を実施した。夫妻は限りない愛情と忍耐で、人間らしい特質とか能力をうえつけようとしたが、始めのうちは、狼であることをやめようとせず、部屋の中を四つ足で歩き回り、人が手を出すと飛びかかった。
昼は暗い部屋にとじこもってウトウトしているか、壁に向かってうずくまり、夜になると遠吠えを始める。食事も、腐った肉や生きているニワトリを食べた。
  それでも夫妻の努力のかいもあり、二ヶ月ほどたつと、妹のアマラが片言を使えるようになったが、一年ほどで死んでしまった。姉のカマラは、三年ほどでやっと二本足で歩けるようになったが、本能的な反射動作をするときは四つ足で歩いた。
  そして人間の社会に戻ってから九年間、十七歳で死ぬまでの彼女の人生は、知能は三歳半程度、四十五の言葉しかしゃべれない悲惨なものだった。これに似た話は、ほかにも伝えられている・・・(略)。
<「幼稚園では遅すぎる」井深大著、1971年出版のゴマ書房>
 (2)さて、皆さんは、これをどのように理解するでしょうか? 
私たちの「大脳の新皮質」は、ほとんど「白紙」の状態で誕生します。ですから、乳児は、自分の育つ環境から「巨大な影響」を受けます。巨大な影響を受けるというよりも、環境そのものを「大脳」に取り込んで、それを「我」として育ちます。ですから、その時に習得する「母国語」は、母国語と共に含まれるあらゆる文化をも吸収し、それがその人に「絶対的な影響」を与えます。
  そういう環境の中で、両親の人格そのものを乳児に「刷り込」んで、無意識のうちに「両親のコピー」を作ってしまうのが「育児」です。ですからその両親が、仮に狼であれば、狼に育ち、そしてその時間が長ければ長いほど、それは確定的になって、もう人間界には戻れないことを証明しています。
 (3)「病気=症状」は、ここで学習した「人格的な歪み」からくる「ストレス」の限界が(心理的、身体的、行動的に)表面化したものですから、それに対処するために、それ相当の時間と「深層心理の解明」が不可欠になります(「人格の基礎」が形成されるのは6才までと「精神分析」ではいい、「交流分析」ではこれを「脚本」と呼び、最重要視します)。

2010年1月13日
 
「深層心理と自己回復についてE」
・・・「植物脳」と「動物脳」について (パート2)・・・
 @「髄質」から分泌されるホルモンがアドレナリンである。アドレナリンは、例えば寒冷にあったり、大出血、怒りや恐怖などの強い刺激があったとき、全身の交感神経系の興奮(瞳孔が開いたり、心臓の拍動数が増えたり)とともに分泌されて血液に入り、自律神経の作用を受けている全身の器官に大体それと同様の作用を及ぼすので、交感神経系による反応は一層強化される。
A「皮質」から分泌されるアルドステロン、コーチゾン、性ホルモンなど約30種類のホルモンの発見が近年の医学界に一つの革命をもたらした。
(4)神経と内分泌腺・・・心と体をつなぐ二つのルート、神経と内分泌腺は、作用を比べてみると、神経の作用のほうがよりすみやかで強い傾向にあるが、その効果はあまり永く続かず、ホルモンの作用の方が永続きするようである。
(5)「古い皮質の海馬」・・・記憶の働き(覚え込む、思い出す)は側頭葉の新しい皮質で営まれるが、覚えた内容を忘れないようにする働きは「海馬」である。記憶には主に、知的に学習して物を覚えることの他に、もう一つの大切なルートとして、体験によって覚える(体得)する場合がある。「痛み」「恐怖」などの情動に関する体験の場合は、感覚の信号は新しい皮質を介さずに直接に古い皮質の海馬に刻み込まれ、ここに貯えられる。体験による印象は、知的に習得されたものよりもずっと強烈であり、かつ忘れ難いものとなるのもこのためとされている。深い感動を伴って刻み込まれた知識や体験が永く心に残るという事実は重要な点であり、宗教的な悟りなどとも深いつながりをもっている。
(6)「古い皮質」は、新しい皮質よりも各種のストレスに反応しやすく、傷つきやすい。知的な働きをつかさどる新しい皮質が発達していない乳幼児では、知性のふるいにかけられない生の体験が、そのまま印象づけられることになる。この意味で、乳幼児期に無批判に取り入れられ、古い皮質に貯えられたさまざまな印象(特に情動を伴う体験)は、成人してからの性格を形づくる基礎となるものである。
(7)「人生観の明暗」・・・したがって、人間が一生のうちでもっとも暗示を受けやすいのは子どものときであり、(藤森注・乳)幼児期に周囲が与えた印象や暗示は、人の一生に拭い難い重大な影響を及ぼすものである。たとえば成人後の人生観の明暗は、両親が家庭でつくっていた雰囲気が楽天的であったか悲観的であったかなどに支配されることが大きい。
<以上は、日本の心身医学の創始者・故・池見酉次郎先生の名著「心療内科」中公新書(昭和38年初版、56年56版)を、私・藤森が簡略にしたものです>

2009年9月30日
 
「深層心理と自己回復についてD」
・・・「植物脳」と「動物脳」について (パート1)・・・
  人間をして、万物の霊長たらしめるような高等で、複雑な心の動きを営むのは大脳皮質の大部分(90%)を占める大脳新皮質。その内側にある残りのわずかな部分が大脳辺縁系(古い皮質)である。人間でも、赤ん坊は新しい皮質の機能は発達が不十分であり、主として古い皮質の働きに頼って生きており、その意味で、動物に近い状態である。
(1)古い皮質は、情動本能的な欲望による行動、自律神経の機能、記憶などとの関係が注目されており、この部分を、内臓の働きを調節する役割をもつという意味で「内臓脳」と言ったり、情動が生まれる場という意味で、「情動脳」と名付けたりしている。このように、心臓や胃腸などの内臓の働きを調節する中枢が同時に「情動の座」でもあるという点は、心と体の結びつきを生理学的に裏づけるものとして特に大切である。
(2)「間脳」は、視床と視床下部からなり、自律神経の最高の中枢があると考えられていたが、今日では大脳の古い皮質が上位から間脳に働きかけ、自律神経を通じて基本的な生命活動の手綱をとっているとされている(内臓脳)。
  快・不快の感、怒りの心、それに伴う行動も、古い皮質の働きによって指令されている(情動脳)。
「視床下部」は、その狭さに似ず、人間の生命活動の総元締め的な働き、すなわち自律神経の中枢としてはもちろん、さらに近年では内分泌や物質代謝を調節することが知られている。このように、視床下部は自律神経とホルモンを介して全身を調節する、ホメオスターシスの中枢ともいうべき部位である。
(3)ホルモン・・・一般にある器官または組織によってつくられ、血液、リンパ液中に分泌され、微量でも遠く離れた部位によく作用する科学的な物質であり、特に大切な意味を持っているのは、「脳下垂体」と「副腎」である。
  「脳下垂体」・・・多くのホルモンを分泌して副腎、甲状腺、性腺など多数の内分泌腺を指揮、調節しており、内分泌の王座をしめるものとされている。
  「副腎」・・・@髄質(内側)A皮質(外側)の2つからなっている。
<以上は、日本の心身医学の創始者・故・池見酉次郎先生の名著「心療内科」中公新書(昭和38年初版、56年56版)を、私・藤森が簡略にしたものです。次回の(パート2)に続く>

2009年6月
24日 
「深層心理と自己回復についてC」
・・・「部分」と「全体」について・・・
例えば、幹線道路が事故で大渋滞を起こせば、周辺の<生活道路が混雑>するし、溝が詰まれば、どこか<弱いところから水が溢れ>出ます。

前FRB議長のグリーンスパン氏は、数年前の退任時はアメリカ経済を繁栄に導いた<最大の功労者>と絶賛されましたが、今は自由主義的考えが行き過ぎ、金融危機を招いた<最大の戦犯>だと非難の嵐を浴びています。

相撲の「若・貴兄弟」が全盛時代、<理想的な家族>と言われていましたが、その後は<一家離散>です。物事の本質を捉えずに、本質が醸しだした<枝葉>のことに目が奪われてしまうことはよくあることです。

「心理」や「病気」の問題も全く同様で、「症状」だけを見て判断する傾向が強いですが、「症状」は全体の中のわずかな「部分」を「結果(症状)」として見せているに過ぎません。

つまり「症状」とは、水が溢れ出た「場所」であり、周辺の「生活道路」です。良い面を見せている「功労者」や「理想的家族」も、無理を重ねて得られた結果ですから、これも「症状」であって、人間にたとえれば、後に、「心筋梗塞」や「ウツ」になっても不思議ではありません。

詰まった場所や事故を起こした幹線道路を処理しなければ解決になりませんし、さらには何故、詰まるようなことになったのか?こういうことがほとんど全く問題にならない「治療」や「心理的対応」が不思議でなりません。

医聖・ヒポクラテスは「症状は療法」であると言ったそうです。「本質的・根源的」な問題を治そうとして「症状」を起こしている(風邪における発熱)、その「症状」を悪者視して、除去しようとするのでは「本末顛倒」です。

例えば、大女優の三田佳子さんの息子さんは麻薬所持で何度も逮捕されましたが、三田さんは毎月、50万円(?)の小遣いを上げていたようです。

問題はお金でも、息子さんの素行(麻薬所持)でもなく、何故、「大金を上げるのか?」という本質的な問題(行為)に目を向ける必要があります。

心理の分野で言えば、「ウツ」は「療法」です。「ハイ(躁)」でエネルギーを浪費して、ガス欠を起こした状態が「ウツ」です。ですから「ウツ」でエネルギーを貯めている(治療中)のに、これを治療しようとするのでは、本末顛倒も甚だしいのですが、現実はこのような治療が行なわれています。

「部分」を見て、「全体」は何か?そう問えば「根源」が見えてきます。これが「交流分析」でいう「脚本(生育歴)」で、「脚本分析」こそが重要です。

2009年3月18日
 
「深層心理と自己回復についてB」
・・・「補法(ほほう)」と「瀉法(しゃほう)」について・・・
(前回Aの「コリ」と「ハリ」について)「コリ」は急性的、「ハリ」は慢性的なもので、一般に「コリ」は冷やし、「ハリ」は温めると効果的です。
  さて表題、「補法」の「補」は補い、「瀉法」の「瀉」は吐き出すことを意味します。「瀉法」とは、主として「怒りの感情」を抑圧することで気滞(きたい・気の滞り・ストレス状態)を起こしている場合に、そのエネルギーを放出する技法を意味し、その技法の代表例が「生体エネルギー法」です。
  「補法」とは、主として「怖れ」や「寂しさ」などの感情を抑圧することで気滞を起こしている場合に、そこにエネルギーを補充する技法を意味し、主として「静坐法」や「ハタヨーガ(ライオンのポーズなどの一部は瀉法)」「吉本式内観法」や「マッサージ」などがこれに相当します。
クライエントの方をお世話していて、今、この瞬間、「補法」が必要か、或いは「瀉法」が必要か、瞬時の判断力が求められます。
  また、「瀉法」で対応している内にエネルギーが動いて、瞬時に「補法」が必要になることがありますし、その逆もあり、これらが適切に対応できたときに、より大きな効果を生み出すことが可能になります。
  さて、「岡田式静坐法」を開発した岡田虎二郎先生は49歳で亡くなっていますが、その直弟子の元日本航空会長・柳田誠二郎先生は、これを活用して、長寿をまっとうされました(95歳前後)。
  何故このような違いが生じたのか?それは、「静坐法」は「補法」ですが、岡田先生は、写真から判断して「瀉法」が必要な方であったために、対処技法に「ミスマッチ」があったからであると思われます。
一方、柳田先生は東京帝国大学時代、猛勉強の結果、心身のバランスを欠き、体重40キロになったと著書にあることや、写真などの総合的な判断で、柳田先生に必要な技法は「補法」であったがために、同じ技法でも抜群の効果を上げたものと思われます。
  つまり、この世の中に、「良いもの」や「悪いもの」があるのではなく、活用次第で「良くにも、悪くにも」なることを意味しています。「出刃包丁」は、「すばらしい料理の道具」にもなるし、「凶器」にもなるように。
これを「仏教」では「無分別(むぶんべつ・分別しない)」と言います。

2008年12月8日 
「深層心理と自己回復についてA」
・・・「ハリ」と「コリ」について・・・
「コリ」は、多くの人が理解していると思いますが、運動したり、大きな荷物を運んだりしたときの「筋肉疲労」を意味します。ここで問題になるのは「ハリ」です。恐らく、専門家も含めて、ほとんどの人が、「ハリ」が全くわからず、「ハリ」を「コリ」と理解しているようです。
  「ハリ」は、「心理作用(心理的ストレス)」によって引き起こされる「筋肉痛」です。では何故、自らの筋肉を縮こませているのでしょうか?これが「深層心理」で、その多くが「怒りの抑圧感情」です。「怒り」を抑圧するために、筋肉を収縮させて「良い子」を演じている結果、「筋肉疲労」の限界に達することから、色々な形に症状化され、その典型例が「四十肩、五十肩」であり、多くの「病気」の原因になっています。
  そのために、「ハリ」は心理的な対応をしない限り改善されません。しかし、残念ながら、現実は、心理作用を全く無視され、「ハリ」が「コリ」として理解され、専門家に治療されています。これは西洋医学はもちろん、東洋医学系統の専門家も全く同様です。
 例えば「牽引」がありますが、「ハリ」は、「その人の内面」から心理的・無意識的に筋肉を縮こませている状態であるにも拘わらず、機械的、強制的に引っ張るのですから、大変危険です。
 最近、「温熱療法」が盛んに言われていますが、これは「ハリ」を和らげるための「対症療法」としては最適のようで原因は不明のまま、「症状」を和らげ、その結果、「副交感神経」を賦活させる効果を上げています。

2008年7月28日
 
「深層心理と自己回復について」
「深層心理」の分野は、説明が非常に難しく、多くの場合、残念ながら誤解されています。最近起きている「種々の事件」や「病気」の原因などの多くは誤解されているか、問題を表層的にしか捉えられていません。
物事には「原因」と結果があり、表面化したものは全て「結果」です。ですから必ず、その「原因」がありますが、西洋医学はそれを全く問題にしません。無意識分野に目を向ける「精神科」や「心療内科」などでも、実態はほとんど手がつけられていないと言っても過言ではありません。「薬」が中心で、薬で効果が上がらない場合は、ほとんど全く「無力」です。40〜50年も前に、九大医学部の故・池見酉次郎先生は、西洋医学の無力さに気づきました。西洋医学は感染症などの伝染性の病気に有効ですが、日本や欧米先進国は、感染性の病気の多くは克服されて、慢性病、つまりストレスを原因とする病気が中心となり、それに気づいた池見先生は「心身医学」を創始されました。

40年近くも前に、池見先生は市民活動である「セルフ研究会」の設立をバックアップし、全国の「セルフ研究会」を通して、心身医学的な発想を、長年にわたって啓蒙されました。しかし、未だに医学は薬中心で、ストレスが原因の慢性病に対しては無力なままです。
さて、当然のことですが「完全な人間」はいません。私(藤森)自身をも含めて、人間は皆、「生き様の歪み」を持っています。その「歪み」が「人間関係」や「人生」を困難なものにしています。・・・(以下は次号に続きます)

 

■ 大櫛陽一先生                          
【プロフィール】


東海大学医学部教授

1971年大阪大学大学院工学研究科修了。同年大阪府就職。大阪府立の病院を歴任。88年より東海大学医学部教授。最近の研究分野は臨床検査、性差と加齢の医療、メタボリックシンドローム、糖尿病、脳卒中など。

テレビ出演:NHK総合「クローズアップ現代」(2006.07.19)、日本テレビ「みのもんたの午後は○○お

もいっきりテレビ」(2007.04.16)、大阪読売テレビ「情報ライブミヤネ屋」、フジテレビ「スーパーニュー

ス」(2007.10.15)、NHK総合「ニュースウォッチ9」(2007.10.19)、毎日放送「ちちんぷいぷ(2008.02.25)、

TBS「ピンポン!」(2008.02.29)、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」(2008.03.17)、関西テレビ

「ANCHO 金曜日のギモン??」(2008.03.14)、日本テレビ「ウェークアップ!ぷらす」(2008.03.22)、

TBS「ピンポン」(2008.05.08)、NKH総合「特報首都圏」(2008.05.16)、TBS「ブロードキャスター」

(2008.05.17)

ラジオ出演:FM東京、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、J-WAVEなど。

新聞:毎日、読売、日経、朝日など。雑誌:週刊朝日、読売ウィークリー、サンデー毎日、

日経ビジネスなど。


東海大学医学部 医用工学情報学のホームページ


 


【著書】

・検査値と病気 間違いだらけの診断基準(太田出版、2006年)
・メタボの罠 病人にされる健康な人々  (角川SSC,2007年)
・ちょいメタでも大丈夫 メタボ健診で異常といわれた人へ(PHP研究所、2008年)
・コレステロール伝説の終焉 メタボ健診に隠された産官学の利益相反(詳伝社、執筆中)





2008年7月17日 「研究テーマなど」
工学部電子工学の出身です。大阪大学で初めてのコンピューターで実習をしました。今でもプログラムを書いています。30歳定年説もありましたが、そんなことはありません。他の分野でも同じだと思いますが、体力や視力は落ちますが、知識やプログラムの蓄積が増えますので、若い時より開発時間は早くなり、バグ(エラー)が少なくなっています。各地市町村や保健所、医師会、健診センターなどの保健医療に関する業務システムを開発しています。私としては蓄積されるデーターを使った統計解析に興味がありますので、研究ベースで開発しています。ほとんどのフィールドと20年近い付き合いをしています。保健医療のデータベース技術では最も長老の一人なので、学会で集めた多くの最新データも解析しています。全国の健診結果約100万人分、共同研究している市町村などの20年間の健診結果、全国の脳卒中治療データ4万5千人分などがあります。男と女の違い、老いの変化などは大変おもしろいですね。常識と違うことが沢山見つかります。「女性は更年期に15才若返る」、「年をとるほど異常者が少なくなる」・・・。まだまだ、研究は終わりません。私の研究方法は、自分の集めたデータを分析する、結果を自分で試すことです。最近アンチエージングというのがありますね。年を取らないことはできませんが、若く保つことはできます。顔のシミを伸ばしたり、サプリメントにはまるのは邪道です。歩く、走る、泳ぐ、自転車をこぐなどの能力を伸ばし、身体能力の自由度を高めることが王道です。若い時ほど早くなくていいのです。コンピューターのプログラム開発と同じで、より効率よくすることは可能です。私のこれらの持続距離は伸び続けています。若い人のマネは出来ませんが、年と共に新しい能力が伸びてくるのです。

■ 藤田紘一郎先生                          
【プロフィール】


人間総合科学大学教授
東京医科歯科大学名誉教授

1939年中国・旧満州に生まれる。東京医科歯科大学医学部を卒業後、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。医学博士。テキサス大学留学後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学大学院教授を経て、現在人間総合科学大学教授、東京医科歯科大学名誉教授。
専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。寄生虫とアレルギーとの関連を疫学および免疫学的に研究、人畜共通感染症の研究、感染症と水の研究を続けている。


【著書】


「笑うカイチュウ」
「空飛ぶ寄生虫」、
「イヌからネコから染るんです」(講談社文庫)
「ニッポン『亜熱帯』化宣言」(中公新書ラクレ)
「原始人健康学」「水の健康学」(新潮選書)
「清潔はビョーキだ」(朝日文庫)
「日本人の清潔がアブナイ」(小学館文庫)
「ウンココロ」(実業之日本社)
「ゼロ歳からの免疫力」(集英社de文庫)
「知られざる水の「超」能力」(講談社+α新書)

「子どもの「免疫力」を高める方法」(PHP出版) など



「免疫をつける生活」きれい社会の落とし穴〜アトピーからがんまで〜
アレルギー病とは、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症などIgE抗体が関与する疾患群をいいます。このアレルギー病が最近急に増えて参りました。たとえば10歳以下の子どもでは約40%がアトピー性皮膚炎ですし、花粉症には日本人の5人に1人が罹っています。
 しかし、この病気は35年前にはなかった病気です。アレルギー病は回虫や細菌、ウイルスなどの微生物とつきあっていると発症しにくくなることを私たちは研究で明らかに致しました。これらの微生物を排除した「キレイ社会」がアレルギー病の発症を促進していると思うのです。
 アレルギー反応は免疫機構のうちTh2が関与し、癌はTh1が関与することがわかっています。「キレイ社会」はTh1も弱めて、癌が発生しやすい環境にしているのです。それでは免疫力を強め、癌にかからないようにするにはどのようなことが考えられるのでしょうか。
 その鍵は腸内細菌叢がにぎっていることがわかりました。腸内細菌叢のバランスよい環境がT細胞を刺激し、キラー細胞を出現させたり、Th1を増殖させ、癌の発生を抑えていることがわかったのです。腸内細菌叢のバランスを保つためにはまず食事です。野菜、穀類、豆類、果物などの植物性の食品を中心とした「手作り」の食事が大切です。細菌類を殺してしまうような防腐剤入りの食品や抗生物質や殺菌剤の混入した食品をとらないことが必要なのです。そして、笑うことや自然に触れることも重要です。

■ 半谷静雄 先生                          
【プロフィール】
静岡大の佐藤龍子先生と
半谷静雄先生(背景は姫路城)

姫路獨協大学 医療保健学部教授

昭和46年3月 横浜市立大学 医学部卒業
昭和46年4月 東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所外科に
          医療連士として入局
昭和52年10月 東京女子医科大学より学位「医学博士」授与

現在は姫路獨協大学 医療保健学部専任教授で、日本胸部外科学会認定指導医、日本循環器学会認定専門医として実際の診療にも従事


 以前は、東京女子医大・日本心臓血圧研究所で胸部外科学会の指導医として、心臓血管関係の外科手術に携わっていましたが、現在は姫路獨協大学で医療系の学生を対象に外科学・麻酔学・集中治療医学、先端治療技術学などの臨床系の講義を担当しています。また、予防医学の一環として、“健康格差社会”、“メタボリック シンドローム”、“喫煙の弊害”の3つをメインテーマとした講義を「健康社会科学」の履修科目名で薬学部の学生にも行っています。さらに教育活動のみではなく、臨床面でも日本循環器学会の認定専門医として、実際の診療活動にも従事しています。
  そして、これらの経験を通して日々私が痛感していることは「健康の2極化」と言う現実です。この一言の中に現在の日本が抱える大きな医療の問題点の原点が包括されているように思われてなりません。要約すれば、「精神面をも含めた国民健康の2極化現象」と言ってもよいと思います。日々の日常診療で漠然と感じていたことが、講義の準備で目を通した様々な文献中に多くのevidenceとして記載されているのを目にした時、まさに目から鱗が落ちる思いでした。即ち、リスク因子の2極化現象です。何故か高血圧の患者さんは過食・運動嫌い(結果的に肥満となる!)で、糖尿病・脂質異常症を併発し易く、喫煙率も高く、うつ状態、更には「寝たきり」に陥りやすいのです。
  そして、最近問題視されている無差別殺人の原点にもこの2極化現象があるように思われてなりません。そうです!経済社会の2極化現象が健康・精神の2極化をももたらしているのです。この逆もまた真です。「日本では着実に健康格差」が広がりつつあります。もっと詳細をお知りになりたい方は是非「イーマの会」までお問い合わせを!

■ 丹羽正幸 先生                          
【プロフィール】


医療法人社団丹伎会 丹羽クリニック院長

1973年 横浜市立大学 医学部卒業 横浜市立大学附属病院 第二外科
1976年 カリフォルニア大学サンディエゴ校外科研究室研究員
     ・膵臓移植、糖尿病を研究
1981年 城西歯科大学(現 明海大学)外科学講座講師
1988年 丹羽クリニック開設
       難治性疾患の治療を目的と史、西洋医学と伝統医学(漢方、正
        體)による統合医療を開始



【著書】


「アトピー全快 汗を出すのが正しい」(プレイブックス)

「ステロイドは使わない アトピーはこうして治す」(長崎出版)

 

 

 

 

 






2011年3月14日
〜アンチエイジングと統合医療O〜
インフルエンザ感染の仕組みと負けない体力づくり
 昨シーズンは、新型インフルエンザ(A/H1N1)が世界的に流行し、最近では多剤耐性菌が話題になりました。今回は、「人がウイルスに感染するときに体内で何が起きているのか」ということをインフルエンザを例にお話します。また、私がこれまでの臨床経験から得た、「今すぐ始められるインフルエンザの予防法」と「インフルエンザに負けない体力づくりの方法」もご紹介したいと思います。  まず、ウイルスが体内に侵入しようとする時には、皮膚・粘膜がバリアを張りめぐらしているので、ここで少数のウイルスを攻撃します。皮膚では汗や涙に含まれる酸や酵素に殺菌作用があり、ウイルスを撃退してくれます。また外気から、のどや肺、消化器に侵入したウイルスは「粘液」が退治します。しかし残念ながら免疫力が弱っていると、ウイルスは容易にこれを突破して体内にどんどん侵入してきます。  一般的にウイルスと呼ばれるものの大きさは、約20〜970nm(ナノメートル:1mmの100万分の1)、スギ花粉は20,000nmです。一方、インフルエンザウイルスの大きさは直径約100nmです。このことからもインフルエンザウイルスがかなり小さなウイルスであり、体内に侵入しやすいものであるとご想像いただけると思います。多くのウイルスは鼻や口の粘膜に留まりますが、インフルエンザウイルスは小さいため、吸い込むと気管支まで到達して気道の粘膜で増殖を始めます。  皮膚・粘膜の防御を突破して侵入してきたウイルスに対して最初に立ち向かうのはマクロファージ(貧食細胞)です。マクロファージは、風邪やインフルエンザを引き起こすウイルスを飲み込み、食べ、除去する働きを担う白血球の一つで、普段はブドウ球菌やカンジタやガン細胞の処理にと忙しく働いています。  働き者のマクロファージがウイルスなどとの闘いで持てる力を消耗したとき、栄養素やエネルギーの必要性が極端に高まります。つまり元気いっぱいで活躍してもらうためには、後方からの支援が必要になってきます。この支援は「ビタミンC」が引き受けます。ですから、ビタミンCは活発なマクロファージを維持するのに特に重要です。ビタミンCはマクロファージに集まりますが、その濃度は周辺の血中濃度の40倍にも至ることがあると言われています。  通常、正常だと判断される程度のビタミンC血中濃度では、このような場合にはマクロファージに十分供給できるとは言えません。またビタミンCは、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の作用を活性化し、抗ウイルスたんぱく質のインターフェロンの生成を促進します。インターフェロンは細胞にウイルスが侵入すると直ちにつくられ、ウイルスそのものを攻撃して感染症を阻止します。ですから、免疫力をより強固なものするためには、ビタミンCを多めに摂取することが大切なのです。

【インフルエンザ予防のために】
@手洗い15秒とうがい!インフルエンザ対策用マスクを!  まずはウイルスを水際で食い止めること。花粉症対策用のマスクではインフルエンザウイルスは素通りしてブロックできない。
A日頃からビタミンCとビタミンAを!  ビタミンCはウイルスを攻撃する。  ビタミンAはウイルスの侵入を防ぐ。 普段から免疫力を高めておく。 B寒気・食欲不振・頭痛・吐き気を感じたら、漢方薬「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」   体温が35度前後になるとウイルスが体内に簡単に侵入、繁殖する。柴胡桂枝湯には生姜が含まれ、身体を芯から温め、自然治癒力を高めてくれる


2011年2月14日
〜アンチエイジングと統合医療N〜
統合医療の歴史とこれからの展望 統合医療から融合医療へ
「統合医療」という言葉が一般に浸透して久しくなりました。しかし、言葉は広く使われ始めるとその意味が本来のものから相違が生じることがしばしばあるようです。統合医療の場合は、それに従事する人間の意識にかかわらず、近年「単なる寄せ集めの医療」という様相を呈してきました。私はこの状況を危惧すると共に、原因は文化と医療における日本の歴史にあると考えています。
  その昔、日本には独自に発展した和方医学がありましたが、平安時代初期に中国医学の流入により和方は崩壊の危機に瀕します。そこで当時の平城天皇が和方の保護に乗り出します。そのおかげもあり、和方はその後脈々と受け継がれ、江戸時代中期には国学の台頭と共に和方の重要性が唱えられました。実証的な蘭方医学(西洋医学)や理論的な中国医学などの外来の医学に対抗して、古来より伝わる民間療法などを再評価して日本の風土に合った医学が探求されました。
  ところが明治時代に入ると、欧米の知との融合が叫ばれ、近代医学(西洋医学)が取り入れられ、法制度的にも和方・漢方が否定されました。それ以後、日本は細胞病理学説と特定病因論に基づいた国民皆保険制度を用いて世界一の平均寿命を誇る世界一の医療システムを確立しました。
  こうして日本の医療は独自の文化とは全く切り離された「根無し草」となってしまい、元々のルーツという基盤を持たなくなった医療は、様々な医療を前にした時に「単なる寄せ集めの医療」に陥りがちになってしまったのだと考えます。

そもそも、なぜ世界には異なる伝統医療が存在するのでしょうか。恐らく、それは医療の発展には少なからず文化の要素が加わるからでしょう。
@人とは何か(哲学、宗教、人類学)
A人の身体をどのように捉えるか(身体観、哲学、医学)
B人の病気をどのような手段を用いて治すのか(薬剤、手技療法、鍼灸など)
C病気をどのような順序で治すのか

日本が現在の医療を超える理論を持つ為には、江戸時代以前の日本古来の文化と医療を振り返り、自然治癒力の亢進を基礎とした医療の確立が不可欠でしょう。
江戸時代に活躍した華岡青洲は、1804年世界で初めて全身麻酔による外科手術を成功させましたが、彼は「内外合一」つまり『病気そのものは「内(科的なもの)」と「外(科的なもの)」と分かれたものではないので、医師の内科、外科といった専門領域に留まることなく、診療に関しては「分科の統合」という概念で広く専門的知識を相寄って一人の患者、一つの病気に対しなければならない』とされ、医師として常に心掛けるべき教訓の一つとされています。また、「活物窮理」という辞句を以って『真理を見極め常に研究する精神を持って診療すること』と説きました。華岡青洲は200年以上の昔にすでにこのことに気付いていたのです。
日本は古くより様々な文化を融合して新たなものを創り出すことを得意としてきました。今、「単なる寄せ集めの医療」になりかけている「統合医療」から「融合医療」へと時代がシフトしつつあるようです。比較的に宗教的な偏見の少ない日本でこそ、世界の知を融合して治療学の確立がなされるべきではないでしょうか。

2011年1月13日
〜アンチエイジングと統合医療M〜
現代医学の源 古代ギリシャの医神 アスクレピオス

 前回までは、当院で行っている治療法をご紹介してきました。今回は、私の趣味である歴史に焦点を当て、医の原点を探ってみたいと思います。

現代医学の源は誰か?
  そもそも現代医学の源は誰でしょう。それは紀元前6世紀頃の古代ギリシャの医神「アスクレピオス」ではないでしょうか。迷信や占いを排し、自然治癒力を高め、病気を治療した人物で、かの有名な医聖ヒポクラテスも自ら彼の後裔であると称しました。
蛇杖を持つアスクレピオスは、西欧では医薬の象徴とされ、WHO(世界保健機関)でもその旗に蛇杖と蛇がデザインされています。 彼の一族は、妻エピオーネ(看護と鎮痛の女神)、長男マカオン(外科の守護神)、次男ポダレイリオス(内科の守護神)、長女ヒュゲイア(健康の女神・衛生学)、次女パナケイア(万能薬の女神)、三女イアソー(治療の女神)がおり、現代の基本的な医学体系の源とされています。
  古代ギリシャでは「人間はどこからきたのか、人間とは何か、人間はどこに行くのか」を考えることが、人生最大の意義とされ、この概念が人生をいかに生きるべきなのかという哲学を生みました。この考えの下で彼は、「医術は生に奉仕する術であり、生を創り出す術ではない。その術は、医術ではなく錬金術と呼ばれる。」と提唱しています
 
アスクレピオスの神話
アスクレピオスは、太陽神アポロンの息子で、死者をもよみがえらせるほどの名医となりますが、その腕の良さがゼウスの怒りを呼び、雷電により撃ち殺されます。また、彼は人を若返らせる力を持つことから、蛇の脱皮に例えられ、蛇がシンボルとなりました。ゼウスは彼の死後、彼を星座の“へびつかい座”にし、医術の神としたという伝説が残っています。

アスクレピオスの神殿医療
  アスクレピオスの神殿は、ギリシャのコス島にあり、ここでは、音楽療法・食事療法・体育療法・夢治療などが行われました。ここは病院であり、宿泊施設、病室、治療所があり、また劇場、運動場、浴場などが完備されました。いわば古代版病院付きの一大ヘルスセンターであり、統合医療の場だったのです。
 
アスクレピオス医療の衰退と復活
そんなアスクレピオスの医療も陰りを見せます。病を癒す治療神として登場したイエス・キリストとキリスト教が台頭し、アスクレピオスの医療が迫害されたためです。そのうえ380年にローマ帝国がキリスト教を国教とすると宣言し、ついに歴史の舞台から消えました。
アスクレピオスの医療は単なる伝説と言われ1000年近くの時を経て、再び光が当たります。1883年に神殿が発掘され、伝説が事実と証明されたからです。
また、実際はその医療は、後裔であるヒポクラテスの一派によって脈々と受け継がれていたのです。
また20世紀前半に「抗生物質」が発見され、あらゆる病気が克服できると信じられましたが、耐性菌が出たり、細胞やウィルスを病因とする特定病因論では解決できない難病が現れて伝統医療が見直されます。そして、彼の神殿医療は統合医療の原型的な「場」として、すでに一つのモデルを示すとようやく再評価されたのです。

今こそアスクレピオス
  現在、日本の医療を取り巻く環境は政治的に未知数な点が多く見受けられます。私は、このような混乱期こそアスクレピオスに代表される医の原点に返ることが大切だと思うのです。


2010年12月13日
〜アンチエイジングと統合医療L〜

〜ミトコンドリアを鍛えて身体のエネルギーを充実させる〜

人間には、病気になった時に自分で自分を治そうとする「自己治癒能力」が備わっています。しかしながらその能力には個人差があります。根本治療のためには「細胞を活性化させ、いかに自己治癒能力を高めるか」が重要です。

生命活動を支えるエネルギーの生産
  どんな生命体もエネルギーがなければ病気に打ち克つことも、生きていくこともできません。このエネルギーをATP(アデノシン三リン酸)と言い、ATPが途絶えないようにする仕組みは細胞に備わっています。それが「解糖」と「呼吸」です。解糖は1つのブドウ糖から2つのATPを作る方法で、酸素のない時に細胞質で行われる反応です。
一方、呼吸は細胞質にあるミトコンドリアという小器官で行われます。ミトコンドリアではブドウ糖と酸素を材料にして、TCA回路などを経て、解糖の19倍の38個ものATPを作ります。呼吸には必ず酸素が必要です。私たちは酸素とミトコンドリアのおかげで、莫大なATPを得ることができ、生命を維持することが可能なのです。

小器官ミトコンドリアの起源
  太古の昔、ミトコンドリアと私たちの細胞は別々に生存していました。 地球上に酸素が存在しない時代、エネルギーは光合成や発酵から得ていました。光合成によって酸素が作られ、徐々に大気中酸素濃度が高まると、今度は酸素を利用してエネルギーを獲得する生命体ミトコンドリアが出現してきました。光合成や発酵に比べ、酸素を用いた呼吸というシステムは大きなエネルギーを産生できます。
  大気中酸素濃度が高まる過程で、私たちの起源である細胞は、エネルギー対策としてミトコンドリアと共存する道を選びました。ミトコンドリアとしてもエネルギーの材料を提供してくれる細胞は好都合だったのでしょう。

ミトコンドリアを鍛えるアスクレルーム
私のクリニックの関連施設には、アスクレルームという設備があります。ここでは、生命の誕生と進化の過程を考慮し、どの人にも備わっている低酸素防御機構を利用して、ミトコンドリアを鍛え、体中の60兆の細胞を活性化させてヒトの持つ自然治癒力を高めます。
「体温を上げると病気になりにくい」とよく言われますが、これはミトコンドリアがエネルギーをたくさん生産させると、その際に熱が放出されて体温が上がり、生産されたエネルギーを使って病気が防げるためとも考えられます。
基礎体温が35度台だった四十代の女性は、アスクレルームに15回入った時点で基礎体温が1度上がりました。
また糖尿病の患者さんの場合も、ミトコンドリアの機能を高めて、糖代謝を上げることは重要です。
あるアトピー性皮膚炎の二十代の女性の患者さんは、炎症やかゆみが和らいだだけでなく強くて美しい皮膚へと変わってきました。すると表情まで豊かになってきました。

ミトコンドリアを助けるサプリメント
ミトコンドリアは、TCA回路を経てATPを産生しますが、ビタミンCはTCA回路を回すのを支えるのでお勧めです。
にんにくもこのTCA回路を支えているビタミンB群の働きを助けるので、サプリメントとして摂ると手軽で良いでしょう

ミトコンドリアを増やす、活かす
有酸素運動はミトコンドリアを十分に機能させ、その数自体を増加させます。皆さんが取り組みやすい方法に、ウォーキングやヨガがあります。ぜひ皆さんもミトコンドリアと上手に付き合ってみて下さい




2010年11月13日
〜アンチエイジングと統合医療K〜

酵素と醗酵の力
戦後、欧米からもたらされた栄養学では、炭水化物、たんぱく質、脂肪の三大栄養素はヒトが生きていく上で必要な栄養素として重視されました。その後、炭水化物を摂っても、それだけではエネルギーとしてうまく代謝しないことがわかり、ビタミン、ミネラルが加わって五大栄養素となり、さらに食物繊維が6番目に加わりました。
もちろんこれらの栄養素も大切ですが、私たちの生命を維持する上で忘れてはならないものに酵素があります。酵素については、古くから研究されており、これまでは酵素の原料であるたんぱく質を摂っていれば、酵素が作り続けられると考えられていました。ところが、近年になって実は酵素を作る能力には限界があることがわかってきたのです。
  酵素とは、生物が物質を消化する段階から吸収・輸送・代謝・排泄に至るまでのあらゆる過程に関与しており、生体が物質を変化させて利用するのに欠かせないものです。酵素の働きがなければ、人間も動物も生きることができません。体内で一生のうちで作れる一定量の酵素を「潜在酵素」、食べ物から取り入れるものを「食物酵素」と呼びます。潜在酵素は、大きく分けると「消化酵素」と「代謝酵素」の二つがあります。消化酵素とは、食べ物を消化分解し、吸収するための酵素です。一方、代謝酵素の働きは、吸収された栄養を体中の細胞に届けて有効に働く手助けをしたり、体内の毒素を汗や尿の中に排出したり、身体の悪い部分を修復し、病気を治したり、細菌やウィルスから身体を守ることです。消化酵素の量に対して食べ過ぎてしまうと酵素による分解が追い付かなくなります。デンプンをブドウ糖に分解できないと未消化のブドウ糖がそのまま吸収されて血液の中を漂い、血液をドロドロにして、赤血球どうしをくっつけてしまいます。その結果、多くの病気を招く原因になります。さらに本来は代謝酵素となるべき酵素も消化酵素の働きをしなければならなくなり、代謝酵素すらも不足という状態を引き起こします。
  酵素は加齢とともに製造力が落ち、ストレスによっても消耗されます。潜在酵素を早く使い切るか、温存しながら大事に使うかによって寿命と健康は大きく左右されます。もし、補う食物酵素が増えれば、潜在酵素の減少を食い止めることができます。
  食物酵素は新鮮な生の食べ物に含まれています。酵素はたんぱく質でできているので、熱に弱く、加熱されると、たんぱく質が変性して酵素でなくなってしまうのです。生の肉や魚、生野菜、果物には全て酵素が含まれています。さらに醗酵食品にも酵素が豊富に含まれています。
原始時代、人々は主に木の実や果物を食し、その後、野菜を食べるようになりました。そして稲作技術が日本列島に伝わった頃、料理の基本的な味付けは、塩と味噌のようなものでした。酵素を多く含んだ食品は原始の時代から私たちにとって優れた「健康食品」だったのです。
当院では、様々な症状の方に植物エキス醗酵液をお飲みいただき、体調の変化をみてきましたが、ほとんどの方が改善を自覚されました。特に多かったのは、便通が良くなった、皮膚がきれいになった、疲れにくくなった等です。
日本には世界に誇れる醗酵の優れた技術と歴史があります。ストレスの強い現代こそ醗酵の素晴らしい力を見直すときではないでしょうか。


〈酵素とは・・・〉
1.生命活動に必要不可欠なもの
2.ビタミン・ミネラルが酵素の働きを助ける
3.ひとつの酵素はひとつの働きしかできない
4.熱によって変性してしまう
5.醗酵食品や生の食べ物(新鮮なもの)には酵素がある


2010年10月13日
〜アンチエイジングと統合医療J〜
ダイエットと統合医療

「太る」メカニズム
今や「ダイエット法」と呼ばれるものは、数え切れないほど巷に溢れています。しかし残念ながら、実際は効果が現れないものも多く、中には健康を害するものもあります。 
「太る」ということは、摂取エネルギーと消費エネルギーのアンバランスによって起こる現象です。消費エネルギーに比べ摂取エネルギーが多いと、消費されなかったエネルギーが中性脂肪に転換されて、身体に蓄えられるのです。
それほどたくさん食べていないのに体重が増えるという方、または食事の量は変わらないのに中年になって太ったという方も多いでしょう。一般的には、年齢を重ねるとともに基礎代謝量は低下していきます。基礎代謝は、生きていくために最低限必要なエネルギー量であり、生命活動、つまり内臓を働きや体温を維持するために使うエネルギーのことです。基礎代謝の中で最もエネルギー消費が多いのは筋肉です。筋肉量を増やすと基礎代謝量が増え、太りにくく痩せやすい身体になります。
また同時に、若い頃と比較して運動量や活動の幅が減るので、大食でなくても消費エネルギーが減少し過食状態になり太るのです。
漢方薬を用いたダイエット
間違ったダイエットを行って引き起こされる問題は、やはり健康への悪影響です。正しいダイエットを行うには、まず、自分の身体がどのような状態なのか把握することが重要です。例えば肥満のタイプは原因によって大きく3つに分けられます。第一は脂肪ため込み型で、脂肪分の多い偏った食事が原因です。第2は水太り型で、水分代謝が悪くなっていることによります。第3は、その両方が原因となった混合型です。漢方薬で肥満治療を行う場合、脂肪ため込み型は、脂肪の燃焼促進、水太り型は体内に滞った水分を排出させる漢方薬を用い、混合型ではその両方を使います。
日本人に多いのは水太り型です。このタイプには「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」が最も効果的で、顔や足のむくみが解消できます。脂肪ため込み型には、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」で脂肪の燃焼を促進させ、基礎代謝を高める効果もあります。また、症状により、便通をよくする漢方薬などを処方する場合もあります。大切なのは、体質と身体の状態をよくみることです。
ダイエットとサプリメント
ダイエットでの問題の現れ方は人それぞれですが、もしすべての方に共通する改善策をひとつだけ挙げるとすれば、私はビタミンCの摂取を提案します。実は私たちの脳や身体は、想像以上に多くのビタミンCを必要としています。ビタミンCには、様々な作用がありますが、代謝の根幹に関与しているため、病気を治し健康を保つ体内環境を作ることができる、つまり身体の基礎を整えてくれるのです。  
また、良いビタミンCサプリメントとは安全で効果の高いものです。賦形剤や着色料などの添加物を極力使用していないものの方が安全です。そして、質の良いサプリメントは、摂り始めてから2週間ほどで身体に変化が見られ始めるものです。
ダイエットの本当の目的は、キレイにそして健康になることです。単に体重だけにとらわれず、自分の身体をしっかり把握して、ご自身に合ったダイエット法を行いましょう。

2010年9月21日
〜アンチエイジングと統合医療I〜
日焼けとスキンケアの基本

皮膚はよく働く、賢い臓器
私は医師として、皮膚との付き合いが四十年近くになりますが、皮膚ほど働き者で、賢い臓器は他にないと言ってもいいでしょう。皮膚の役割は、外からの刺激などに対して、真っ先に身体を守るバリア(防壁)の働きです。その他にも体温調節、呼吸、汗によって老廃物の排出も行います。さらに、触覚の情報を集める感覚器でもあり、脳と同じように体の状況も判断できるのです。とりわけ重要な役割は、免疫を担っていることです。皮膚の問題は、単に見た目の問題というだけではなく、全身の健康と関わる重要なものなのです。
紫外線の及ぼす皮膚への影響
紫外線がシミ・シワなどの原因だということはすでに有名ですが、皮膚機能の低下の第一原因でもあります。紫外線は、日本では3月ごろから強さを増し、5月から8月にかけて最も強くなります。
では実際に、どのような事が皮膚に起こっているのかを説明しましょう。
皮膚に影響を与える紫外線には、UVAとUVBの二種類があります。UVAは表皮を通り真皮にまで達するので、大量に浴びれば、ハリや弾力を司るコラーゲンやエラスチンを断裂・変性させ、シワを招きます。この現象がサンタンです。UVAは熱さやほてりを感じさせず、ガラスも通過します。そのため、気がつかないうちに皮膚へダメージを与えます。
UVBは表皮から真皮に届き、皮膚組織を刺激して火傷に近い炎症を起こします。この熱傷をサンバーンと言います。サンバーンがひどすぎると、表皮が壊れて内部のメラニン色素が真皮に落ち込み、いわゆる「炎症後の色素沈着」のシミになることがあります。このシミは治るまでに数カ月〜数年かかることがあります。
大きなトラブルが生まれる前段階として細胞レベルでは炎症→酸化というプロセスが進行します。強い紫外線を浴びると皮膚が赤くなり、炎症が起こり、その後、黒くなります。これが酸化です。酸化した皮膚を放っておくと、弾力やハリを失い、シミやシワ、タルミといった現象が起こるばかりでなく、皮膚本来の機能が妨げられます。
ですから、紫外線を浴びたら、しっかりとアフターケアを行う必要があります。
日焼け後のスキンケアの基本
紫外線で受けた影響を最小限に抑えるためには、早めのスキンケアが重要です。
スキンケアの基本は、@皮膚の清潔、A水分補給、B保湿です。しかも、日焼け後二時間以内に行うことが最も効果的です。なぜなら、炎症は日焼けから約二時間後から起こり始めるからです。
@ 洗浄・・石鹸で汚れをきちんと落とす。皮脂を落としすぎない石鹸でやさしく洗う。日焼け後の皮膚のざらつきは酸化した古い角質。古い角質を穏やかに取り除くタイプのパックを使用する。
A 水分補給・・吸収が良く、防腐剤など皮膚を刺激する成分の入っていないもので補う。
B 保湿・・洗顔後は水分が皮膚から抜けないうちに皮脂と近い性質をもつオイルや乳液で保湿。
必要なものだけを補う
あまり皮膚を過保護にすると皮膚本来の機能を損なうことになるので注意が必要です。私のクリニックでは、皮膚に負担を掛ける化学物質をできるだけ排除し、細胞自体の働きを良くする植物エキス醗酵液を使用した基礎化粧品を勧めています。つまり、皮膚にとって必要なものだけを補ってあげればよいのです。

2010年8月21日
〜アンチエイジングと統合医療H〜
病の治療は貧血の治療から

様々な病気の診療にあたっていてまず重要なのは、貧血の治療だと考えています。まず貧血を治さないと抱え込んでいる病状は良くなりません。最近は食生活が乱れているので本人が気づかずに貧血になっている場合が多く見受けられます。貧血状態だと健康な人に比べてウイルスに感染しやすくなります。逆に胃炎や肝炎にかかっている患者さんも血液の状態を良くすることによって病気が良くなっていきます。
さて、貧血の治療も根本的なことから行う必要があります。現代医学の考え方では貧血状態を抑える鉄剤や薬を処方するのが一般的ですが、実は貧血をおこす原因はもっと複雑です。貧血ということで安易に鉄剤を処方すると、貧血の状態はよくなったけれど、胃炎をおこして食事を十分に食べられなくなってしまうというリスクもあります。良い血液にするためには食事からの栄養摂取が大切なのです。
貧血の根本的な治療は、骨髄の状態を良くすることです。血液は骨髄のステムセルから生成されるので、貧血はなんらかの原因で骨髄の働きが悪くなっていると考えられます。ですから骨髄の血流を良くし、骨髄の栄養も良くしばければいけません。そのためには身体の歪みを整え、血流を良くする手技療法と栄養状態を良くするビタミン・ミネラル療法が必要です。
血液の性状を良くする
貧血は血液検査の数値(ヘモグロビン、ヘマトクリット等)で表れますが、本当の意味での貧血は赤血球の形に表れます。つまり良い形の赤血球でないと、効率よく酸素を全身に運べないということです。血液検査のヘモグロビン、ヘマトクリットの数値が良くなっても、本来の赤血球の形が良くならないと絶対に症状は治まりませんし、本当の健康体とはいえないと思います。
貧血の症状をとるには、基本的に「鉄」ですが、それだけでは不十分です。治療過程で必要な栄養素の八割は鉄以外のミネラルや他の栄養素です。鉄の吸収を助け、赤血球やヘモグロビンの合成や代謝を助けるのがビタミンとミネラルとタンパク質だからです。
私が通常、貧血の患者さんに処方するのは、天然型のビタミンCと天然型のミネラルの入った栄養剤です。天然由来というのは非常に大切です。
ケミカルでつくられた栄養剤は身体に負担をかけるので良くありません。天然型のものはしっくりと身体の細胞に入り込みますが、化学薬品は石油から出来ていますので身体の中に入ると他の電子を奪ってしまってかえって悪い作用を及ぼします。
また漢方も併用して体質改善を行っていきます。
貧血の予防
貧血にならないためには、食事や生活習慣を改善するとともに骨髄を健康にしなければなりません。
骨髄を健康にするポイントは、@身体の歪みを整え新陳代謝をよくする、A身体を温めて新陳代謝を良くする、B気分をリラックスさせる時間を持つことで緊張を解き、血流を良くする、C胃腸を強くして栄養の吸収力を良くしておく、Dビタミンとミネラルを補給することで骨髄に栄養を与えて強くしていく、などが重要です。
健康と若さを維持するためにも貧血を予防しましょう。
2010年7月21日
〜アンチエイジングと統合医療G〜
花療法、メンタルケアの重要性

 

健康を維持する上で、また病気の治療をする上で、精神の状態は非常に大きな影響をもたらします。一見精神的なものと関係なさそうな肩こり腰痛など場合でも、精神面が影響して痛みや症状が増長されるケースは少なくありません。もちろんストレスやトラウマが原因になっている病気もあります。そのため当院ではメンタルケアの方法として「花療法」を取り入れています。
  あるアトピー性皮膚炎の二十八歳の女性の患者さんです。小さいときからアトピーの症状が出ており、病院を転々とし、民間療法も様々なことを試してきました。ステロイドも長期にわたって使用していました。当院を訪れたときはステロイドで皮膚の炎症をおさえていましたが、皮膚がかなり薄くなっているのが診てわかりました。そこでこの患者さんには、漢方、ビタミン・ミネラル、正體、温熱療法の統合治療を開始しました。すると次第に筋肉に弾力性が出てきて皮膚に良い血流が行くようになり、皮膚が丈夫になってきました。免疫検査の数値も正常値に近づき、治癒は時間の問題と思われました。しかし治療開始から半年たっても皮膚表面の炎症はなぜか鎮まりません。患者さんは苛立ちとストレスを募らせるようになりました。そこで、「花療法」を受けていただくことにしました。
花療法とは、花の持つエネルギーを身体に取り込んで、感情や精神のバランスを調整する療法です。
実は植物の力を借りて心身の不調を治すということは、人間が太古の昔から行ってきたことで、植物を使った伝統医療は世界中に存在しています。近代では、1940年代にイギリスのバッチ博士が花に特別な癒しのエネルギーがあることに着目して研究し、治療法として確立されました。その後オーストラリアやアメリカ、カナダ、ドイツなどでも研究が進み、人体に負荷をかけず、しかも西洋医学の治療法や医薬品の効果を妨げない療法として、海外の医療機関で取り入れられ始めています。
  その患者さんは、花療法を受けながら、ご自身が小さいときから様々な薬を塗ったり飲んだりしてきたことを詳しく思い出し、今はまだ完全でないけれど着実に良くなっていることを認識し、気持ちが大分落ち着きました。そしてこの日をきっかけに、皮膚の炎症が治まっていきました。
私の診断法はあくまでも筋骨格を中心として身体を診ていくことです。
その理由は、患者さんの精神状態はあくまでも身体の不調からきていると考えるからです。実際に、患者さんの精神状態は身体を見た方が良くわかりますし、身体の治療をすることで精神状態は改善されていきます。ですから当院では、自律神経失調症、うつ、不眠などの患者さんに対して、必ずしも花療法を行うわけではありません。むしろ漢方と正體が良く効きます。しかし客観的に見て身体の状態が良くなったにもかかわらず患者さんの辛さが解消されない場合、花療法は大変有効です。また治療の過程で患者さん自身に気持ちを整理していただくためにも非常に大きな役割を果たしています。

2010年6月11日
〜アンチエイジングと統合医療F〜
ビタミンCの本当のちから

今回はビタミン・ミネラルの中でも最も重要なビタミンCについて、もう少し詳しくお話します。
ビタミンCも体内に蓄えられる
ビタミンCというと、水溶性で過剰分はすぐに体外に排出されてしまうので多くとっても無駄になるということがよく言われますが、少し違います。実は身体が必要としているビタミンCの量は私たちが想像しているよりもはるかに多いので、そう簡単には過剰にならないのです。むしろ慢性的に不足していると言ってもよいでしょう。米国の研究によると、ビタミンCは脳や臓器、骨、筋肉など身体の各組織に常に蓄えられています。食事から一日五十ミリグラム(栄養所要量の半分程度)を継続的に摂っている人の体内には常に約一五00ミリグラムものビタミンCが蓄えられています。そしてサプリメントなどでもっと多くのビタミンCを摂っている人の体内には約四五00ミリグラムものビタミンCが貯蔵されています。このことからも、ビタミンCを多く摂っても無駄にならないことがおわかりでしょう。
ビタミンCの多様な働き  
ビタミンCには次にあげるように多くの作用があります。
・抗酸化作用、活性酸素除去作用
・コラーゲン合成作用
・脂質代謝への関与
・神経伝達物質生成作用
・抗ストレス作用
・善玉コレステロールの生成
・マクロファージを刺激してインターフェロンを出す
・免疫増強作用
・鉄の吸収を助け貧血を改善する
・疲労回復作用
・血糖低下作用
・血圧降下作用
・抗動脈硬化作用
・抗腫瘍作用
・解毒作用
  そして、これらのビタミンCの作用は、体内に多く蓄積すればするほど引き出されるのです。
良いビタミンCサプリメントとは
私が考える良いビタミンCサプリメントとは安全で効果が高いものです。主成分であるビタミンCは化学合成されたものよりも穀物や果物などからとったものの方が人体との相性が良いでしょう。またビタミンCはバイオフラボノイドと一緒になると働きがよくなりますから、それらが配合されているものが良いです。また、賦形剤や着色料などの添加物は極力少ない方が安全です。
  臨床で言えば、飲むことによって血中濃度が上昇することが最低条件です。また、飲んでいる人に何らかの症状改善の自覚があることが重要です サプリメントは長く飲み続けないと効果が出ないと思っていらっしゃる方が多いのですが、質の良いものであれば一〜二週間で何らかの効果が自覚できます。もしずっと飲んでいても何も変化を感じないのであれば別のサプリメントにした方が良いかもしれません。当院では、一般の方四十人にご協力をいただいて、二週間ビタミンCを飲んでいただき、体調がどのように変化したかアンケートを実施したことがありますが、ほとんどの方が改善を自覚されました。特に多かったのは、皮膚がきれいになった、便通が良くなった、睡眠が改善された、尿量が増えてむくみが減った、疲れにくくなった、等です。さあ、あなたが飲んでいるビタミンCはいかがですか?

2010年5月12日

〜アンチエイジングと統合医療E〜
ビタミン・ミネラル療法

ビタミン・ミネラルとは
「なんだか調子が悪い」「疲れやすい」「風邪をひきやすい、治りにくい」これは、もしかしたらビタミン・ミネラル不足かもしれません。
  ビタミンとは、野菜や果物、その他の食品に含まれ、私たちの身体の中で酵素系を通じて代謝を正常にする物質です。私たちの身体が正常に機能したり代謝したりするのはビタミンのおかげです。
  ミネラルとは、カルシウムやマグネシウムや鉄や亜鉛など「微量元素」のことで、骨、血液、ホルモンの生成に必要な物質です。また、ビタミンが吸収される際にはミネラルが不可欠です。
ビタミンもミネラルもごく少量で十分ですが、なくてはならない物です。そして、私たちの体内で生成できない物がほとんどなので、食品など外部から摂取する必要があります。

十分な量と必要な量
  ビタミン・ミネラルは少々不足しただけでは問題ありませんが、長期的に不足が続くと体調をくずして病気になります。例えばビタミンCが著しく不足すると壊血病に、ビタミンAが不足すると夜盲症に、ビタミンDが不足するとくる病になります。現代の日本の食生活では、ここまで不足することは希でしょう。しかしビタミン・ミネラルは私たちが認識しているよりも多くの量が必要なことは確かです。
ビタミン・ミネラルを含め様々な栄養素には「栄養所要量」が定められていますが、実はこれは健康な人が健康を維持するために必要な量といえます。ですから、疲労や風邪などで体調をくずしているとき、人間の身体はより多くのビタミン・ミネラルを必要としています。その場合、食物だけでは不十分なのでサプリメントなどで補う必要が出てきます。

病気が治る環境を整える働きもある
  例えば、ビタミンCの栄養所要量は成人で百ミリグラムですが、風邪をひいたときに当院ではその十倍ぐらいの量をサプリメントで摂るようにすすめています。するとビタミンCを摂らない場合に比べて明らかに症状が軽く、治りが早くなります。
  また、アトピー性皮膚炎の患者さんにもビタミンCは有効です。アトピー性皮膚炎はアレルギー性の炎症が慢性的にある状態ですが、このとき身体は大量のビタミンCを必要としています。実際に患者さんのビタミンCの血中濃度を測定すると、消費されて著しく低くなっています。そしてサプリメントを服用していただいて、ビタミンCの血中濃度が高くなってくると皮膚症状も次第に落ち着いてきます。
  ところで、ビタミンCはビタミンの中で最も人体が必要としている物であり、大量に摂取しても安全ですが、そのほかのビタミン類をサプリメントで摂る場合は量や品質や飲み合わせなど注意が必要ですので、自己判断は避けるようにしてください。

2010年4月12日

〜アンチエイジングと統合医療D〜
脳と身体を活性化する音楽療法

皆さんは落ちこんでいるときに好きな音楽を聴いて気持ちが救われたり、美しい音楽を聴いてリラックスしたりした経験はあるでしょうか。音楽に心を癒す力があることは、みなさんご存知のことと思います。その音楽の力を治療に活かしたのが「音楽療法」です。
音楽療法はアメリカで発展しました。病気や事故による聴覚障害や精神障害や脳性麻痺、自閉症や言語障害、精神分裂病、神経症、鬱病、痴呆症などの症状に用いられます。子供にも大人にも高齢者にも有効ですし、病気や後遺症以外でも一般の方のストレスケアに用いられています。
音楽療法には聴くことを中心にしたものや自らが楽器を演奏したり歌を歌ったりするものなど様々な形式があり、目的も効果も異なります。当院では次の二種類の音楽療法を行っています。

脳に刺激を与える音楽免疫療法
モーツァルトの音楽が痴呆の防止に良いという話を聞いたことがあるでしょうか。高い周波数の音が脳を効率良く刺激し、脳が活性化されることが近年の研究により明らかになっています。モーツァルトが作曲した音楽にはこの高い周波数の音が絶妙なバランスとリズムで配置されているのです。当院のひとつめの音楽療法はこの原理を用いています。患者さんに、特殊な機械で高周波音を強調したモーツァルトの音楽を三十分間聴いてもらいます。その前後で唾液中の免疫物質やストレスホルモンの値をはかって比較すると、音楽を聴くことによってストレスホルモンが下がり免疫物質の分泌量が上がります。これは、楽しんで音楽を聴いた人にも、聴きながら眠ってしまった人にも、クラシックがあまり好きでなくてリラックスできなかった人にも同じようにおこります。このことは、意識レベルの好みや楽しみに左右されずに音が確実に脳を活性化していることを示しています。

身体に刺激を与える音楽音響療法
もうひとつは、音の響きを身体に与えることによって、身体と脳を同時に刺激する音楽音響療法です。よくボディソニックで音楽の低周波の刺激が身体に響くものはありますが、当院で使用しているのは特殊なスピーカーを内蔵したベッドです。低周波の音の響きが身体に伝わるだけでなく、音自体もクリアーに聴こえ、音楽も楽しむことができるのが特徴です。身体と脳を連動させて刺激できるので相乗効果が大きくなります。
患者さんに合わせて選択する
  この二つの音楽療法をどのように使い分けるかを簡単に説明しますと、身体よりも脳の方により問題がある場合は音楽免疫療法、脳よりも身体の方により問題がある場合が音楽音響療法です。不眠を例にとると、ストレスや心配や不安で頭が休まらず、交感神経が過剰になって眠れない場合は音楽免疫療法です。また、同じ不眠でも心配や不安が元で身体が緊張し、そのことが不眠に拍車をかけている場合は音楽音響療法です。
  音楽に限らず耳から入ってくる音の刺激は思った以上に脳に影響を与えています。ぜひみなさんも音と上手につきあってみてください。



2010年3月10日

〜アンチエイジングと統合医療C〜

身体を芯から温める温熱療法
 近年、平熱が三十五度代の低体温の方や冷え性で悩んでいる方が増えています。冷え性対策としては漢方や食事療法などで体質改善する方法が知られていますが、実は直接身体を温める方法が意外と即効性があります。温めるというと皆さんは半身浴、サウナ、カイロを貼る、等を思い浮かべるかもしれません。しかし冷え性を改善する温め方にはコツがあるのです。
深部体温を上げる温め方
冷え性を改善するには、身体の深部をきちんと温めなければなりませんが、それには身体を乾燥させずに温めることです。コタツや電気毛布のように身体を乾燥させるタイプの熱はその場の寒さを凌ぐことはできますが深部体温を上げることはできません。身体の深部に届くのは湿度を伴った熱です。
次に重要なのは、四十分間持続できるような温度で温めることです。実は、身体の深部が温まるには意外と時間がかかるのです。といいますのは、どんなに高温で温めても外からの熱が深部の筋肉や臓器に届くわけではありません。身体を徐々に温めることによってリンパの流れが良くなり、次に静脈の流れが良くなり、臓器が温まって、はじめて身体全体が温まるのです。そこまでに要する時間が約四十分なのです。そうなると高温のサウナではそんなに長く入れません。岩盤浴や半身浴など湿度もあり気持ちよく続けられる温度のものが適しています。
温熱ルーム
当院では、室温三十八度、湿度六十%に設定した「温熱ルーム」を用いた療法を取り入れています。
この温熱ルームに入ると、三十分ぐらいから汗が出はじめ、四十分ぐらいでかなり大量の汗をかきます。深部が温まって出る汗は、皮脂を多く含んでサラっとしており、ベタベタしません。
深部の冷えが一度きちんと解消されると、その状態は二〜三日持続します。そして深部の冷えがなければ、身体は熱を作りやすい状態になり、少し動いたり食事をしたりするだけですぐに温まるようになってきます。こうして温熱ルームに何回か入ると、常に深部の冷えが解消され、自らも熱を作りやすくなり、冷えとは無縁の身体になってきます。
深部体温が上がると多くの症状が解消される
極度の冷え性で、靴下をはかないと寒くて眠れなかった女性が、温熱免疫ルームによって楽に冬を過ごせるようになりました。
また、二十代の女性で、基礎体温が常に三十五度代で無排卵だった方が、温熱免疫ルームに三回入った時点で基礎体温が三十六度代に上がって安定し、三年ぶりに排卵がありました。
  温熱ルームは胃腸の調子も改善します。胃腸が温まることによって胃腸の粘膜の血流が良くなり、粘液の分泌量が増えます。温熱ルームに入ると三十分ほどで胃の痛みがなくなったり、腸がゴロゴロ動き出して便秘が解消されたりする例は多数あります。また温熱ルームで定期的に大量の汗をかくことは解毒作用になります。
皮膚の老廃物も排出されて、皮膚も美しくなります。
病気は冷えたところから発生します。深部体温をしっかり上げて若さと健康を保ちましょう。みなさんが手軽にできる方法には半身浴があります。四十分が無理であればせめて半分の時間でも結構です。続けることによって効果は必ず出てきます。

2010年2月19日

〜アンチエイジングと統合医療B〜

整体は病気が治る体内環境をつくる

 統合医療の治療手段には様々なものがありますが、その中で整体は重要な役割を果たしています。統合医療は病気だけでなく病人自体を診る医療です。つまり病気が治るような体内環境を取り戻すことです。ゆがんで血液やリンパの流れが悪くなった身体では病気が治る環境とはいえません。ですから整体によって身体を整えることはとても重要なことなのです。
  一口に整体といっても、いろいろな方法があります。中国式でツボを刺激し経絡を整えるもの、マッサージのように筋肉を揉みほぐすもの、カイロプラクティックのように骨格を矯正するもの等です。やり方は違っても、身体のゆがみを整えるという点では共通しています。それによって血流やリンパの流れが良くなり、自律神経のバランスがとれます。もちろん筋肉のコリが取れ、身体の緊張が取れリラックスすることも大きな効果です。一般的に整体は、肩こり、腰痛、膝痛などの筋骨格系の症状や、不眠などの自律神経失調症や、不定愁訴など現代西洋医学では原因がはっきりしない症状に効果があります。身体のゆがみを正すことが身体全体の調子を整え、様々な症状を改善に向かわせるからです。

正しい身体に戻す「正體(せいたい)」

整体はやり方次第でもっと明確な目的で治療に用いることができます。当院では、胃腸病、アレルギー、アトピー性皮膚炎、糖尿病、高血圧など様々な疾患の治療に整体を用います。
胃炎、胃痛など胃の調子が悪い場合、実は原因の多くは胸郭が歪んだり腹部や背中の緊張が強すぎたりして胃が圧迫され胃の動きが悪くなっています。このようになると胃薬だけでは根本的には良くなりません。整体で胸郭を整え、背中や腹部の緊張を取ると胃が動くようになってきます。
  当院では「整体」ではなく「正體(せいたい)」という字で表現しています。これは正體が単に左右差を解消したりコリをほぐしたりするだけでなく、その人にとって正しい理想的な形に身体を戻すことを目的とした手技だからです。身体の形を正しくしてあげると内臓や脳神経の機能も正常に戻ってくるのです。


2010年1月27日

〜アンチエイジングと統合医療A
   統合医療の診断と処方 〜


自分に合うものをどうやって探す?

昨今「健康に良い」「○○に効く」といわれているものはたくさんあります。本紙が発行されるころもきっと何かが流行っていることでしょう。しかし、それが自分自身にも効くかどうかは疑問です。例えばダイエットに効果ありとされるものはたくさんありますが、脂肪太りなのか水太りなのか混合太りなのかタイプによって効くものは違ってきます。また肥満の原因が、カロリーのとりすぎなのか運動不足なのか代謝自体が落ちているのかによっても異なります。さらにその根本ある身体のメカニズムがホルモンバランスの乱れなのか自律神経の乱れなのか睡眠不足などからくる内臓の疲労のせいなのか、それとも甲状腺機能障害などの病気があるからなのか等によっても改善方法は変わってきます。思いつきで食事制限をしたり健康食品をとったりしても当たる確率は低いでしょう。それらを見極め自分に合った最適な方法を選択するには統合医療的な診断と処方が必要なのです。

統合医療の診断法
統合医療とは現代西洋医学と東洋医学や代替医療を組み合わせた医療です。現代医学は症状を改善し病気を治癒させますが体質改善には関与しません。また東洋医学は劇的な症状改善はもたらしませんが体質改善をすることで症状を徐々に和らげ病気を治癒させます。そして統合医療は、現代医学的な症状改善と東洋医学の体質改善を同時に行い、代替療法で治療効率を高めていく医療といえます。また現代医学と比べより治療に照準を合わせた診断をする点も統合医療の特徴といえます。つまり治療のゴールをどこに設定するかによって診断の仕方が変わってきます。
例えばアトピー性皮膚炎の場合、
皮膚の湿疹やかゆみを鎮めてQOLを上げるのがゴールであれば皮膚症状に合ったステロイド剤を塗るのが一番なので皮膚を詳細に診ることが診断です。しかし健康な皮膚を自力で形成することをゴールとするのであればそのための診断が必要です。
十八年間、五千五百例のアトピー治療の経験から言うと、アトピー患者には共通する身体の弱点があります。
@胃腸の機能が弱い
A身体に歪みがある
B皮膚が薄くて過敏である
C皮脂を含んだ汗がかけない
このように皮膚に限らず身体を多面的に診ることが統合医療の診断です。

統合医療の処方
これらの弱点を克服する手段として何を用いるかは個々人の体質や生活環境などによります。例えば@の「胃腸機能の弱さ」を克服する場合、基本的には漢方薬が良く効くのですが、急性の症状が強い場合は西洋薬も必要です。また内蔵の冷えが機能低下の原因である場合はむしろ温熱療法の方が有効です。また背中の緊張が強くて内蔵の動きが悪くなっている場合は正體が有効です。このように同じ症状であっても原因を正しく見極めて最適な治療法を選ぶことが必要です。統合医療では医師がその辺を客観的に判断し、どうしたら患者さんがより早くより良い状態になるのか治療法を処方するのです。いずれにしても患者さんの身体や背景を良くみることが重要なのです。

2010年1月19日

〜アンチエイジングと統合医療@〜

 老いは人間にとって避けることのできない現象であり、それゆえに永遠のテーマでもあります。秦の始皇帝が不老長寿の薬を求めて、水銀を飲んでいたという有名な話があるように、昔から不老長寿は人類の夢でした。「アンチエイジング」という言葉をきいたとき、みなさんはこの「不老長寿」をイメージされるかもしれません。しかしアンチエイジングとは老いを否定することではありません。むしろ当然のものとして受け入れ、いかに上手に付き合うかという考え方なのです。受け入れてきちんと対処すると、人間の身体は構造的にも機能的にも、皆さんが考えているよりも良い状態で長持ちさせることができるのです。
  アンチエイジングという言葉はこれまで美容やエステの分野でよく使われてきましたが、近年は医学の分野でも研究が進み、アンチエイジング医学として確立されるようになりました。アンチエイジングが療法として行われるようになったのは、今から三十年ほど前からで、代表的なものはホルモン補充療法です。ホルモンの血中濃度が測定できるようになり、老化とともにホルモンが減ることが明らかになったことで行われるようになりました。また、十年ほど前になると、「老化の根本原因は細胞レベルの炎症である」という説が主流になってきました。いわゆる活性酸素によって細胞膜等が傷つく現象が細胞の炎症です。そして炎症とともに細胞の酸化がおこります。こうして細胞が炎症と酸化をすることでダメージを受け、皮膚にしわやしみができたり、糖尿病や癌などの病気が引き起こされたりするのです。
  現在では、皮膚科、内科、循環器科、神経内科、泌尿器科、眼科、歯科などあらゆる診療科でアンチエイジングの視点にたった治療や予防が行われるようになりました。見た目の若さも大事な要素ですが、本当の若さ、本当の美しさとは健康の上に成り立つものです。ですから健康になることがアンチエイジングの第一歩なのです。
  私のクリニックではアンチエイジングという言葉を意識したことはありませんが、病気を治し、より健康になっていく過程で、患者さんがはつらつとした美しさを獲得していかれます。もし病気や健康の問題を放置したまま外側を若く美しくするケアだけをしていたら、このような美しさには行き着かないと思います。
当院では、身体を多面的に診断して治療を行う「統合医療」を行います。漢方薬による体質改善を中心に、関連施設でのビタミン・ミネラル療法、正體(せいたい)治療、温熱療法、音楽療法、フラワーエッセンス療法などを組み合わせて治療にあたっています。それによってどのような疾患の方も、姿勢が改善され、胃腸の調子が良くなり、新陳代謝が良くなり、健康的に美しくなっていきます。アトピー性皮膚炎の患者さんも、健康な皮膚を自力で形成できる仕組みを身体の中に作ることで、炎症やかゆみがなくなるだけでなく見違えるように強くて美しい皮膚になっていくのです。
  次回からは、当院で行っている治療法を一つ一つご紹介したいと思います。

(当エッセイは顧問 大堀克己先生のご好意で病院会報から転用させていただいております。)

2009年7月1日
  〜漢方で体質改善〜
漢方は統合医療の要
病気に狙いを定めて治療する西洋医学に対して、漢方は患者さんの身体全体を診ます。そして弱いところやバランスを崩しているところをみつけ、それを補い整える治療をします。また漢方薬による体質改善は、並行して行う他の治療の効果を高める重要な役割を果たします。同じ病気でも漢方薬を内服した例と内服しない例とでは、用いた方が明らかによく治ります。開院当初から漢方は当院の統合医療において中心的な役割を果たしています。

漢方で表情が明るくなった
五十三歳の女性の例です。五十肩で右肩が上がらなくなったため関連施設での正體治療を希望して来院されました。しかし診察をして肩の症状よりも気になったのは、神経質で落ち着きがないことと表情の暗さでした。話を伺うと、うつ病で治療を受けていたことがあり、現在もときどき頭がぼーっとするとのことでした。そこでその症状に合わせて、ある漢方薬を処方しました。
一週間後の診察で彼女は開口一番に「なぜか調子が良いです」と言いました。それまでは人と話すのが億劫だったり、些細なことでイライラしたり、動くことすら苦になっていたのですが、なんのストレスも感じずに行動できるようになったそうです。なによりも表情が明るく柔らかくなり、神経質な感じがなくなり、一週間で見違えるように印象が変わりました。五十肩も楽になりました。

漢方がよく効く症状

このように自律神経のバランスを整え、内側から改善するには漢方薬が適しています。長期間飲まないと効果が出ないと思っている方が多いようですが、症状に合うものを内服すれば短期間で劇的な効果を得ることができます。
漢方が良く効く症状は、冷え性、更年期障害、不定愁訴、自律神経失調症、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー疾患、リウマチなどの免疫疾患、生活習慣病などです。症状をとるだけでなく、体質改善が必要な病気に対し着実に効果をあげることができます。

加齢による問題はもともと弱いところに生じる

胃腸が弱い、肥満、膝や腰の痛み、疲れやすい、代謝が悪い、皮膚の衰えなど加齢によって生じる問題は人それぞれですが、これはその人のもともと弱い部分に現れているのです。ですから体質改善で自分の持つ弱点を改善しておくことこそ健康の基本といえるでしょう。

2009年6月1日
  〜統合医療の診断と処方〜
自分に合うものをどうやって探す?
 昨今「健康に良い」「○○に効く」といわれているものはたくさんあります。しかし、それが自分自身にも効くかどうかは疑問です。例えばダイエットに効果ありとされるものはたくさんありますが、脂肪太りなのか水太りなのか混合太りなのかタイプによって効くものは違ってきます。また肥満の原因が、カロリーのとりすぎなのか運動不足なのか代謝自体が落ちているのかによっても異なります。さらにその根本にある身体のメカニズムがホルモンバランスの乱れなのか自律神経の乱れなのか睡眠不足などからくる内臓の疲労のせいなのか等によっても改善方法は変わってきます。思いつきで食事制限をしたり健康食品をとったりしたところで成功する確率は低いでしょう。それらを見極め自分に合った最適な方法を選択するには正しい診断と処方が必要になってきます。

統合医療の診断法
 統合医療とは現代西洋医学と東洋医学や代替医療を組み合わせた医療です。現代医学は症状を改善し病気を治癒させますが体質改善には関与しません。また東洋医学は劇的な症状改善はもたらしませんが体質改善をすることで症状を徐々に和らげ病気を治癒させます。そして統合医療は、現代医学的な症状改善と東洋医学の体質改善を同時に行い、代替療法で治療効率を高めていく医療といえます。また病因、症状、身体の状態を多面的にとらえ、現代医学と比べより治療に照準を合わせた診断をする点も統合医療の特徴といえます。

統合医療の処方
 同じ症状であっても原因を正しく見極めて最適な治療法を選ぶことが必要です。統合医療では医師がその辺を客観的に判断し、どうしたら患者さんがより早くより良い状態になるのか治療法を処方するのです。いずれにしても患者さんの身体や背景を良くみることが重要なのです。